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第5話 屈辱

Author: 甘梨鈴
last update Huling Na-update: 2025-06-02 18:14:05

「物欲しそうにヒクついて、下品な液を滴らせています。レオナール様に抱いて頂けると、勘違いしているのではないでしょうか」

 嘲るような従者の言葉に、エマの肩が跳ねる。

 侮蔑的な目で股間をジロジロと眺められ、言葉で貶され、エマは自尊心は深く傷ついていた。

 けれど、快楽の熱に苦しむエマには、なすすべがない。

「ぁんッ……ぅぅッ」

 襲ってくる疼きに、エマは自らの雄を高めようとした。しかし、嘲りの言葉をぶつける男達の前で、これ以上の醜態は晒したくない。

 伸ばそうとした手を、グッと握り締める。

「はぁッ……はぁ、はぁぁっ」

「どうした? イきたいんじゃないのか?」

 エマの様子に気付いたレオナールが、愉快そうに笑う。

「オメガの発情(ヒート)は、苦しそうだな。体が疼いてたまらないのだろう?」

「ぁ、……っ」

「どのように慰めるのか、見せてみろ」

 自慰をしろと命じられ、エマは震えながら顔を伏せる。

 頷かないエマに、レオナールが声を低くした。

「やれ」

「……」

「レオナール様の命が聞けないのか!」

 従者が叱責し、エマに怒鳴る。

「卑しいオメガが、レオナール様の御前を許されているのだ。早くイって見せろ!」

「ぁッ……んんっ」

 かすかに首を振って抵抗を示すと、従者がエマの髪を乱暴に掴んだ。

「ぁぁっ!」

「命令が聞けぬなら、お前の侍女が折檻を受けるぞ」

「ッ!?」

 従者の脅しに、ハッと目を見開く。

 エマの侍女は、幼い頃から仕えてくれている、姉のような存在だ。レオナールに目を付けられたら、酷い目に遭うかもしれない。

「……わ、分かりましたっ」

 消え入るような声で答え、エマは目をつむる。

 男達を視界から消して、昂ぶった半身をそっと握りしめた。

「はぁぁんっ、ァァ……んぁぁッ」

 長く疼きに耐えていた躰は、刺激に敏感になっていた。

 エマが軽く扱いただけで固く張り詰め、あっという間に絶頂へ達する。

「あぁぁーーッ!」

 ドプッと精が放たれ、エマの手を濡らす。

 達した開放感などなく、屈辱で涙をこぼした。

 侮辱してくる男達の前で股間を晒し、自慰を強要され、エマのプライドはズタズタにされる。

(ぅぅッ……こんな人達の前で、イクなんて!)

 悔しさのあまり唇を噛みしめるが、すぐに嘲笑が響く。

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